これ、リアルタイムで見ていた人はしばらく動けなかったんじゃないでしょうか。
8月9日、東京・立川市のアリーナ立川立飛で行われた「GENKOTSU vol.13 立川立飛大会」。メインの日本ライト級タイトルマッチで、王者・齋藤眞之助(石川ジム立川)が同級1位・村上雄大(角海老宝石)を10回1分38秒TKOで下し、初防衛に成功しました。
ただ、この「初防衛成功」という6文字がまったく試合を説明していないんですよね。最終回のあの一発が出るまで、会場にいた全員が新王者誕生を疑っていなかったので笑
そして8月21日、齋藤はベルトと一緒に、もうひとつあるものを持って立川市役所を訪ねています。そちらの話も含めて、まとめて振り返ります。
🏆 齋藤眞之助(石川ジム立川)
🥊 村上雄大(角海老宝石)
🥊 試合結果
| 日時・会場 | 2026年8月9日(日) アリーナ立川立飛(東京・立川市) |
| タイトル・階級 | 日本ライト級タイトルマッチ(10回戦) |
| 勝者 | 齋藤眞之助(石川ジム立川/王者) |
| 敗者 | 村上雄大(角海老宝石/同級1位) |
| 決着 | 10回1分38秒 TKO |
| 戦績 | 齋藤 18勝(7KO)6敗/村上 6勝4敗1分 |
🥊 9ラウンドまで、完全に村上のリングだった
右のオーソドックス・齋藤に対して、村上はサウスポー。立ち上がりは互いに前の手で探り合う静かな展開でしたが、動き出したのは挑戦者のほうでした。
村上はインサイドに右を差し込んで左につなぎ、齋藤が右を振って返そうとするとステップバックでかわしてワンツー。齋藤も引かないんですが、とにかく行かせてもらえない。5回終了時点の公開採点は、1人が48-47の1点差で拮抗を示したものの、残る2人は村上に5ラウンドすべてを与えるフルマーク。数字がそのまま流れを表していました。
中盤以降も構図は変わらず。強引にでも打開しようと突っ込む齋藤に対し、村上は迎え撃つように左から右を返し、危なくなればクリンチでリセット。上手いんですよね、本当に。試合後、齋藤自身が村上のことを「言葉に出来ないうまさ」と表現しています。
🥊 最終回、右アッパー一発
そして10回。ここで齋藤の右アッパーが爆発します。村上が背中をキャンバスに叩きつけられるような形でダウン。立ち上がった村上のダメージを齋藤が冷静に確認してからまとめにいくと、レフェリーが割って入りました。
そのダウンの瞬間まで、スコアは5点差が1人、7点差が2人で村上優勢。つまり、あと2分40秒ほど何事もなく過ぎていれば、村上雄大が新王者になっていたわけです。近年でもなかなか見ないレベルの大逆転でした。
村上はこれが4度目の王座挑戦。あと一歩まで迫って、また届かなかった。陣営が「本人というより、こっちのミス」と本人を庇ったというのが、なんとも切ないところです。
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ボクシングってのはポイントを取り合うゲームじゃねぇ、最後まで殴り合うスポーツなんだよ。それを10回1分38秒で証明されたんだ。忘れんな。
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![]() トレーナー |
![]() 初心者くん |
7点差って、もうほぼ決まりですよね…? 挑戦者の方はどんな気持ちだったんでしょう…
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だからこそ、勝ったほうもすげぇんだよ。負けが見えてる展開で、まだ当てる場所を探してた奴だけがあのアッパーを打てるんだ。腕っぷしの話じゃねぇぞ。
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![]() トレーナー |
![]() 初心者くん |
なるほど〜! 諦めてなかったから当たったんですね。ちょっと泣きそうです…!
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🥊 KO負けした相手に雪辱して獲った、26年ぶりのベルト
そもそも齋藤眞之助という王者、キャリアの経緯がなかなかドラマチックです。
山梨県甲府市出身の181cm。デビューは2016年9月27日で、2019年には全日本ライト級新人王になっています。得意なパンチはジャブ、憧れのボクサーはロイ・ジョーンズJr.。右のボクサーファイターです。
ベルトを巻いたのは今年3月18日、後楽園ホールの「KADOEBI BOXING.4」セミファイナルで行われた日本ライト級王座決定戦。相手は先日8月21日に後楽園で再起戦を戦った齊藤陽二(角海老宝石)でした。
ここが重要なんですが、この2人は初対戦ではありません。齋藤は2024年4月のライト級アジア最強トーナメントで齊藤陽二に2回KO負けを喫しているんです。つまり3月の決定戦は、自分をマットに沈めた相手への雪辱戦でもあった。そしてその再戦を制して、石川ジム立川にとってはリック吉村以来26年ぶりとなる日本王者が誕生しました。
一夜明けての齋藤のコメントが、また彼らしいんですよね。
「試合に勝った実感はあるが、チャンピオンになった実感は湧かない。齊藤陽二選手に勝つことだけを考えていた」
—— 齋藤眞之助(2026年3月19日・一夜明け取材)
「意外と緊張はなかった。腹を括ってリングに上がれた。試合前に陽二選手のインタビューを読んで『やってやるよ!』と気持ちが入った」
—— 齋藤眞之助(同)
戴冠した夜も一睡もできず、翌日には試合映像を見返して「やるべきことはできたが、ボクシングレベルはまだまだ」と自己採点が厳しい。8月9日の大逆転劇も、この人の気質を知っていると「なるほど」と腑に落ちます。
🥊 挑戦者・村上雄大と、熊本という土地
敗れた村上雄大についても触れておきたいです。熊本の秀岳館高校出身で、アマチュア戦績は35戦29勝(5KO・RSC)6敗。憧れのボクサーは長谷川穂積、目標は「日本チャンピオン」。前日計量の時点でも、故郷・熊本への思いを口にしていました。
今年7月末に熊本を襲った震度7の地震は、ボクシング界にも大きな影を落としています。8月9日のこの興行では会場で令和8年熊本地震の募金が集められ、そのお金を齋藤が持って行った先が、8月21日の立川市役所でした。
齋藤は酒井大史市長に初防衛を報告するとともに、日本赤十字社立川市地区長でもある酒井氏に募金を手渡しています。
ベルトを担いで立川市役所を訪れた齋藤眞之助(左)と酒井大史市長
「前回より、チャンピオンの自覚を持って挨拶できたかなと思う。防衛に関しては勝てて良かったとホッとしてます。村上選手は上手かったです。勉強させてもらいました」
—— 齋藤眞之助(2026年8月21日・立川市役所での表敬訪問)
「勝ててホッとしている」。あれだけの大逆転をやってのけた本人の第一声がこれというのが、なんとも齋藤らしいなと思いました。そして負けた相手を「上手かった」と真っ先に立てる。
📣 Xポスト
この試合、専門家からの評価も高いです。元世界王者でボクシング解説者の飯田覚士さんは、8月19日のライブ配信のテーマ「勝ちへの執念」を語るにあたって、寺地拳四朗vs京口紘人の名場面と並べてこの一戦を挙げています。
『勝ちへの執念』について、今日のライブ配信で話します。
寺地拳四朗vs京口紘人の2団体統一戦の名場面を振り返りながら。8/9の大逆転劇、日本ライト級齋藤眞之助初防衛戦や、8/16の小國以載戦についても🥊 https://t.co/VGhC8OHx4Q
— 飯田覚士 ボクシング塾BΦX (@satoshiiida6) August 19, 2026
※表示されない場合はこちらのポストから直接ご確認ください。
また、いま日本ライト級がどういう構図になっているかを整理したポストも出ていました。世界を狙う先頭集団の後ろで、齋藤を中心とする国内勢が機会をうかがっている——という見立てです。
さらに、#村上雄大 を最終10回TKOで逆転し、初防衛した日本王者 #齋藤眞之助 もいる。現状は髙橋と今永が世界へ向かう先頭集団、宇津木と仲里が再浮上を狙う追撃組、齋藤を中心とする国内勢がその背後から機会をうかがう構図だ。 pic.twitter.com/2oA2otCCmc
— 🐈 ヒノモトハジメ @武士道ボクシング 🐈 (@bushidoboxing) August 20, 2026
※表示されない場合はこちらのポストから直接ご確認ください。
📝 管理人の見立て
次戦はまだ発表されていませんが、日本ライト級はいま国内でもっとも層が厚い階級のひとつです。齋藤の持ち味は、この2試合ではっきりしました。序盤から主導権を握るタイプではなく、劣勢のまま我慢して、終盤に一発を残しておけるタイプ。手数と技術で勝負されると採点上は苦しくなりますが、10ラウンドという長さがある限り必ずチャンスは作ってくる。
逆に言えば、V2以降も「終盤までもつれる試合」が続くだろうと見ています(信頼度○)。判定まで行けば相手有利、それでもベルトは動かない——そんな試合を、この人はもう一度やりそうな気がします。個人的には、齊藤陽二との3戦目がどこかで組まれないかなと勝手に期待しています。
📌 まとめ
日本ライト級王者・齋藤眞之助が8月9日、地元・立川で同級1位の村上雄大を10回1分38秒TKOに下し初防衛。その瞬間まで3人のジャッジ全員が村上を大差で支持しており、近年でも稀に見る大逆転劇となりました。齋藤は今年3月、自分にKO勝ちしていた齊藤陽二への雪辱を果たして戴冠した石川ジム立川26年ぶりの日本王者。8月21日には立川市役所で酒井大史市長に初防衛を報告し、会場で集めた令和8年熊本地震の募金を手渡しました。
正直、この試合を見逃していた自分が悔しいです笑 BoxGongでは前日の記事で齊藤陽二の再起戦を取り上げましたが、そのベルトの行き先がこんなドラマになっていたとは。日本タイトル戦、本当に面白いので、みなさんもぜひ追いかけてみてください!




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