井岡一翔の「余裕を持ってやれよ」で肩の力が抜けた…吉良大弥、9.2横浜で5戦目の世界初挑戦 相手は寺地拳四朗と殴り合った難敵カニサレス

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「余裕を持ってやれよ」。

ジムの大先輩からこの一言をもらった瞬間、23歳は自分が世界戦を意識して張り詰めていたことに気づいたそうです。声をかけたのは、元世界4階級制覇王者の井岡一翔(37)。かけられたのは、9月2日に人生初の世界戦を迎える吉良大弥(23)=志成ボクシングジム=です。

8月17日、東京・目黒区の志成ジムで吉良が報道陣に練習を公開しました。9月2日(水)、横浜BUNTAIで行われるWBA世界ライトフライ級王座決定戦12回戦。相手は元WBA・WBC世界同級王者で同級2位のカルロス・カニサレス(33)=ベネズエラ=。そして吉良がここで勝てば、日本男子最速タイのプロ5戦目での世界王座獲得となります。

正直、この一戦はもっと騒がれていい試合だと思っています。

吉良大弥

🥊 吉良大弥(志成)

VS
カルロス・カニサレス

🥊 カルロス・カニサレス(ベネズエラ)

🥊 試合情報

項目 内容
試合日 2026年9月2日(水)
会場 横浜BUNTAI(神奈川県横浜市)
タイトル WBA世界ライトフライ級王座決定戦(12回戦)
対戦カード 同級1位・吉良大弥(志成)4勝(3KO) vs 同級2位・カルロス・カニサレス(ベネズエラ)28勝(20KO)3敗1分
同興行のもう1つの世界戦 石井武志(11勝8KO1敗) vs ウィルフレド・メンデス(20勝6KO3敗2分)/WBA世界ミニマム級王座決定戦
配信 Lemino

🥊 なぜ「王座決定戦」になったのか

まず経緯の整理から。この試合、もともとは吉良の指名挑戦でした。

WBAは5月2日(日本時間3日)、WBA1位の吉良と、WBA・WBO世界ライトフライ級統一王者だったレネ・サンティアゴ(34)=プエルトリコ=の対戦を指令。両陣営は対戦合意まで進んでいました。日本人選手を何度も食ってきた「日本人キラー」との統一戦。吉良にとっては最高のシナリオだったはずです。

ところがサンティアゴが練習中に左肘を負傷し、全治4週間の診断。強い痛みが残って出場が困難になり、WBAは7月28日、サンティアゴを休養王者(Champion in Recess)に指定して、1位の吉良と2位のカニサレスによる王座決定戦を承認しました。サンティアゴはWBO王座を保持したまま、復帰時にこの試合の勝者と対戦する権利を持つ、という整理です。

吉良本人も「本当はサンティアゴと戦って2つの世界王座を統一したかった」と話しています。ただ、この王座決定戦の認定にはサンティアゴ側が納得しておらず、法的手段に踏み込んだと報じられています(詳しくはレネ・サンティアゴがWBAを提訴した件の記事にまとめています)。ベルトの周辺は少しややこしい。ただリングの中身は、めちゃくちゃ面白い一戦です。

🥊 吉良大弥について

アマチュア3冠。2024年6月にプロデビューし、まだ4戦しかしていません。

そのわずか4戦目が、いきなりWBA世界ライトフライ級挑戦者決定戦10回戦でした。昨年の大みそか、東京・大田区総合体育館(現EBARA WAVEアリーナおおた)で同級7位イバン・バルデラス(メキシコ)と対戦し、なんと2回KO。得意の左ボディとコンパクトな連打で世界ランカーを一蹴して、王者への挑戦権をもぎ取ってしまいました。

あの試合後、吉良は「来年には必ず世界チャンピオンになっていると思う」と言い切っていました。そして本当に、翌年の9月に世界戦のリングに立つ。言った通りに進めている選手って、それだけで応援したくなりますよね。

勝てば2015年5月の田中恒成と並ぶ、日本男子最速のプロ5戦目での世界王座獲得。そもそも5戦目で初の世界戦に臨むこと自体、田中に続いて史上2人目です。

ただ本人は記録の話をあっさり流していました。世界戦が内定した頃は「5戦目で最速だ」とそれなりに意識していたそうですが、今は「あんまり何も思っていないです。早いからっていう不安はないです」。強い。

そして8月17日の練習公開では、シャドーボクシングとミット打ちを各1ラウンド。ミット打ちでは強烈な右ストレートを見せて、仕上がりの良さをアピールしています。

🎤 吉良大弥のコメント

「相手の得意とする距離でボクシングをさせない。自分のボクシングに持っていって、支配していく練習をしています。相手に合わせて色んなことをして、圧倒的に勝てたら」
—— 吉良大弥(8月17日、志成ジムでの練習公開での発言)

「倒す(KO勝利する)気持ちは結構あります」
—— 吉良大弥(同・練習公開での発言)

元世界2階級制覇王者を相手に「圧倒的に勝てたら」「倒す気持ちは結構ある」。強気というより、単に自分の中で計算が立っているタイプの言い方だな、と感じました。

🎬 公開練習の様子(デイリースポーツ公式)

▶ 動画が表示されない場合はYouTubeで見る(デイリースポーツ【公式】格闘技・プロレスチャンネル)

📣 Xポスト(志成ジムでの練習動画)

配信元のLemino公式アカウントも、志成ジムでの公開練習の動画を投稿しています。この中で吉良が語った一言が、個人的にはこの試合のいちばんの見どころだと思っています。

※表示されない場合はこちらのポストからご覧ください。

「今の志成ジムには世界チャンピオンベルトが1本もない。自分がそのベルトを獲ることでジムにとって何かの意味になればという想いで、全力で獲りに行く。」
—— 吉良大弥(Lemino公式Xより)

志成ジムといえば、井岡一翔がいて、堤駿斗・堤麗斗の兄弟がいて、比嘉大吾もいるジムです。それでも「今はベルトが1本もない」。そこを23歳が自分で埋めに行こうとしている。この構図はちょっと胸が熱くなります。

🥊 カルロス・カニサレスについて

で、相手が本当に厄介なんですよ。

カニサレスは28勝(20KO)3敗1分。WBA世界ライトフライ級王座を2018年から2021年まで保持し、2025年にはWBC世界同級王座も獲った元2団体経験者です。手数が多くて、プレッシャーが強く、そして打たれ強い。日本のファンにとっては「あの試合」の印象が残っているはずです。

2024年1月、エディオンアリーナ大阪。WBA・WBC世界ライトフライ級統一王者だった寺地拳四朗に挑み、ダウンの応酬になる大激闘の末に0-2の12回判定負け。負けはしましたが、あの寺地を最後まで殴り合いに引きずり込んだ選手です。

そして直近が凄い。2025年8月、母国ベネズエラのカラカスでパンヤ・プラダブスリ(タイ)と対戦し、4回に右フックでダウンを奪われながら、5回に左ボディフックで逆転KO。WBC世界ライトフライ級王座を獲りました。しかもプラダブスリには2024年12月にタイで判定負けしており、これは敵地での負けを自国で返した「リベンジ」でもありました。

倒されてから倒し返せる選手。プロ4戦の相手として、これはかなりの難敵です。

4戦の選手が30戦以上のベテラン元王者とやる。こりゃ経験差でどうにかなる話じゃねえぞ。カニサレスは効かされてからが本番みたいな男だからな。倒しに行って倒しきれなかった時、そこからが本当の世界戦だ。

トレーナー
トレーナー

初心者くん
初心者くん
え、そうなんですか? でも吉良選手、4戦目で世界ランカーを2回KOしてるんですよね? それなら勢いで行けそうな気も…

勢いで行けりゃ一番いいんだよ。だが吉良が言ってんのは「相手の得意な距離でやらせない」だろ? これは勢いの話じゃねえ、支配の話だ。4戦目の選手がそこまで言葉にできてんなら、もう勢いだけの選手じゃねえってことだ。俺が見たいのはそこだよ。

トレーナー
トレーナー

初心者くん
初心者くん
なるほど〜! 井岡さんの「余裕持ってやれよ」も、そういう意味だったのかもしれないですね。やってみます!…じゃなくて、見てみます!

🥊 井岡一翔の「余裕を持ってやれよ」

吉良は先週、志成ジムのジム頭である井岡一翔とのスパーリング前に、この言葉をかけられたそうです。そのときの心境を、こう振り返っています。

「張り詰めちゃうけど、いい具合に脱力できる。気持ちのバランスを取れる。『世界戦』って意識してたんやとそこで気がつきました。結構良い調子ではあったんですけど、さらにそういった助言があったんで、もっとここからブーストして良い調整ができそうだなと思った」
—— 吉良大弥(8月17日、練習公開後の取材での発言)

世界戦を15度も経験して、4階級を制覇した男だからこそ言える一言だと思います。技術指導ではなく「余裕を持て」。初めての世界戦で何が起きるかを知っている人の言葉です。

ちなみにライトフライ級周辺の日本勢は今、けっこうな渋滞状態です。スーパーフライ級では寺地拳四朗が3階級制覇を達成し、坪井智也が9月27日にWBC王座決定戦に臨む。フライ級のIBF王者は矢吹正道。そこにライトフライ級で23歳の新王者が生まれたら、数年後の日本人対決の候補がまた1枚増えます。この試合、単発のニュースじゃなくて「日本の軽量級の次の絵」の一部なんですよね。

📝 管理人の予想

吉良大弥の判定勝ちを予想します。信頼度は○。
理由は2つあります。1つは、カニサレスがもう33歳で、しかも寺地拳四朗戦・プラダブスリ2連戦と消耗の激しい試合を重ねてきていること。もう1つは、吉良のコメントが「倒す」より先に「距離を支配する」に向いていることです。ここに気持ちが向いている選手は、相手の一発に付き合わない確率が高い。
ただ、KO決着は正直読みにくいと思っています。カニサレスは倒されてから倒し返した実績がある選手なので、吉良が前半で仕留めに行って捕まえ切れなかった場合、中盤以降にヒヤッとする場面は普通にありそう。ダウンの応酬になったら、経験値の差でカニサレスに転ぶ可能性も残ります。「吉良の判定勝ち。ただし1〜2回はピンチがある」——これが今の見立てです。

📌 まとめ

吉良大弥(23・志成)が9月2日、横浜BUNTAIでWBA世界ライトフライ級王座決定戦に臨みます。相手は寺地拳四朗と激闘を演じた元WBA・WBC王者カルロス・カニサレス(33)。勝てば田中恒成に並ぶ日本男子最速タイ、プロ5戦目での世界王座獲得です。8月17日の練習公開では「圧倒的に勝てたら」と語り、井岡一翔からの「余裕を持ってやれよ」で肩の力が抜けたとも。同じ興行では石井武志の世界初挑戦もあり、9月2日はダブル世界戦。配信はLeminoです。

プロ4戦の選手が、30戦以上のベテラン元王者を「圧倒したい」と言う。この距離感を本当に埋められるのかどうか。9月2日、そこだけ見に行くだけでも十分楽しめる試合だと思います。ぜひ一緒に見届けましょう!

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