寺地拳四朗選手について書きます。競艇選手になりたかった少年が嫌々ボクシングを始め、高校で井上尚弥に倒され、プロ10戦目でWBC世界王者になり、2階級2団体統一王者にまで上り詰める——この話、ドラマよりドラマだと思う。
ちなみに明日2026年7月20日、両国国技館でWBO世界スーパーフライ級王座決定戦に挑戦します。3階級制覇という新たな頂を目指す前に、改めてこの選手の軌跡を振り返ってみました。
🥊 基本プロフィール
| 本名 | 寺地 拳四朗(てらじ けんしろう) |
| 生年月日 | 1992年1月6日(京都府城陽市出身)34歳 |
| 所属ジム | B.M.Bボクシングジム(父・寺地永が経営) |
| 通称 | スマイル・アサシン / The Amazing Boy(海外) |
| 入場曲 | 「愛をとりもどせ!!」(クリスタルキング)→フライ級以降は「TOUGH BOY」とのメドレー |
| プロ戦績 | 27戦 25勝(16KO)2敗(2026年7月19日現在) |
| アマ戦績 | 74戦 58勝(20KO)16敗 |
| 父 | 寺地永(元日本ミドル級王者・元OPBF東洋太平洋ライトヘビー級王者) |
| 主なタイトル | 元WBC世界ライトフライ級王者(2度、V8) 元WBA世界スーパーライトフライ級(統一)王者 元WBC世界フライ級王者 元WBA世界フライ級王者 (2階級2団体統一を達成) |
🥊 「ケンシロウ」の由来——でも北斗の拳を読んだことがない笑
まずこの話、ボクシングファンの間では有名ですが知らない人のために。寺地拳四朗という名前は、言うまでもなく漫画「北斗の拳」の主人公・ケンシロウから来ています。
でも本人曰く、「北斗の拳を一度も読んだことがない」。
父・寺地永さんが大ファンで、生まれた子どもに「ケンシロウ」と名付けた。当の本人はそのまま大人になったわけです。試合では「愛をとりもどせ!!」を入場曲にしているのに、原作を読んだことがない——この話が好きすぎる笑。
![]() 初心者くん |
え!?「愛をとりもどせ!!」を入場曲にしてるのに北斗の拳を読んだことないって……それはそれで面白すぎますね笑
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名前も入場曲も全部親父が決めたようなもんだろ笑。でも入場曲を聞きながらリングインする姿は、ちゃんとケンシロウなんだよな。自分で読んでいなくても様になってるのが拳四朗の不思議なところだ。
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![]() トレーナー |
🥊 競艇選手になりたかった——ボクシングは嫌々始めた
寺地拳四朗の「嘘みたいなホントの話」はまだあります。
実は彼、もともとボクシングをやりたくなかった。将来の夢は競艇選手だったんです。従兄弟が競艇選手(是澤孝宏選手)で、小さい頃からボートレーサーに憧れていた。
ところがある時、「ボクシングで日本ランキング5位以内に入れば競艇学校の特別推薦がもらえる」という話を聞く。それで父の経営するB.M.Bジムでボクシングを始めたのが中学3年生の頃——競艇のために、ボクシングを始めたわけです。
その後も高校・大学で2回、競艇学校の試験を受けているほど本気でした。でも体重制限などの壁もあり、競艇選手の夢は断念。ボクシングの道へ本格的に進むことになります。
「当初はボクシングが嫌いだった」と本人も語っています。競艇のためにしぶしぶ始めたボクシングで、気づけば世界の頂点に立っていた——笑えるような、泣けるような話だと思う。
![]() 初心者くん |
競艇のためにボクシングを始めたら、そっちで世界王者になったってことですか!?人生何が起きるかわかりませんね……
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嫌々始めた奴が世界王者になる。ボクシングの面白さはそこにもある。ただ、嫌々でも続けられたのは「才能がある」と気づいてもらえる環境に最初からいたからだろ。父親がジムを経営して、親父自身が元チャンピオンって環境は大きい。
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![]() トレーナー |
🥊 高校インターハイ決勝——2学年下の井上尚弥に敗れる
競艇のためにしぶしぶ始めたボクシングだったが、素質はすでに本物だった。奈良朱雀高校でモスキート級のエースとして活躍し、インターハイの決勝まで勝ち上がります。
その決勝の相手が——井上尚弥(大和高校・2学年下)でした。
結果は3ラウンド・レフェリーストップによるKO負け。2学年下の後輩に倒された。ただこれ、本当にすごい話で——井上尚弥が高校時代から「化け物」だったことは今になれば誰でも知っているけど、あの井上と真剣勝負で同じリングに立ったという事実は、拳四朗の才能の証明でもあると思う。
その後、関西大学(人間健康学部)へ進学。大学でも競艇の試験を受けながら、ボクシングでは国体ライトフライ級で優勝、全日本選手権準優勝という実績を積み上げた。アマ通算は74戦58勝(20KO)16敗。
![]() 初心者くん |
まさか高校時代に井上尚弥と戦ってたとは!!その頃から「すごいな」ってわかったんですかね?
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高校時代の井上尚弥はすでに「規格外」の選手だったのは間違いない。ただ拳四朗もインターハイの決勝まで上がってる時点で相当強い。負けたとはいえ、あの井上と同じ舞台で戦ったという事実は消えない。それが今につながってる。
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![]() トレーナー |
🥊 父・寺地永と共に——国内タイトルからプロ10戦で世界へ
父・寺地永さんは元日本ミドル級王者・元OPBF東洋太平洋ライトヘビー級王者という、れっきとした元世界ランカーです。自ら経営するB.M.Bボクシングジムで息子を育て上げた。
2014年8月にプロデビューした拳四朗は、信じられないスピードで頂点まで駆け上がります。
- 6戦目:日本ライトフライ級王座獲得
- 8戦目:OPBFライトフライ級王座獲得
- 10戦目:WBC世界ライトフライ級王座獲得
デビューからわずか10戦目で世界王者。この「たった10戦で世界の頂点」という事実はなかなかピンとこないほどの速さです。父と二人三脚で作り上げてきたボクシングが、そのまま世界に通用したということでもある。
ちなみに拳四朗が世界王者になった2017年のタイミングで初めて「ボクシングが向いているかもしれない」と感じたそうです。本人のペースがマイペースすぎる笑。
🥊 WBC世界ライトフライ級王座奪取(2017年5月20日)
2017年5月20日、ガニガン・ロペス(メキシコ)を2-0の判定で下し、WBC世界ライトフライ級王座を奪取。その後8度の防衛に成功し、「スマイル・アサシン」の名を世界に広めていった。
2018年5月の再戦ではロペスを2ラウンドTKOで仕留め、防衛V1も完璧な形でクリア。小気味よいアウトボクシングとカウンターの精度で、軽量級ながらKO率も高いという個性的なスタイルを確立していった。
——ただ、2020年に転機が訪れる。
泥酔した状態で他人の車を破損したことが週刊文春で報じられ、JBCより制裁金300万円・3か月間のライセンス停止の処分を受けた。本人も深く反省し、謝罪。ファンへの信頼を取り戻すには時間がかかった。
🥊 矢吹正道に敗れ——V9に挑んだ初黒星(2021年9月22日)
2021年9月22日、名古屋・ドルフィンズアリーナ。WBC世界ライトフライ級タイトルマッチのV9挑戦者として、無名に近かった矢吹正道(中日本ボクシング)が現れた。
試合は衝撃的な結末を迎える。序盤から矢吹の強打がヒットし、拳四朗はまさかのダウン。10回TKO負けで王座を失い、プロ初黒星を喫した。8度守ったベルトが、まさかの日本人挑戦者に——誰もが驚いた。
でもこのあとが拳四朗の真骨頂だった。
2022年3月19日、矢吹とのリマッチ。 今度は3ラウンドKO勝ちで完璧なリベンジを果たし、王座奪還。この復活劇はアメリカの権威ある専門誌Ring誌の2022年カムバック・オブ・ザ・イヤーに選ばれた。
![]() 初心者くん |
倒されてリベンジで3RKO勝ちってすごすぎる!しかもアメリカでカムバック・オブ・ザ・イヤーに選ばれたんですか!
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拳四朗の強さはね、負けた後に見える。矢吹に予想外の形で敗れて、普通ならメンタルがやられる。でも次の試合でKOリベンジをやってのけた。本物のチャンピオンは負けた後にどう立ち上がるかで測られる。
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![]() トレーナー |
🥊 京口紘人とのWBA・WBC統一戦(2022年11月1日)
王座を奪還した拳四朗に、次の大仕事が待っていた。同じライトフライ級のWBA王者・京口紘人(ワタナベジム)との統一戦。日本人同士による世界統一王座決定戦です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日時 | 2022年11月1日 |
| 会場 | さいたまスーパーアリーナ |
| 試合 | WBC・WBA世界ライトフライ級統一王座決定戦 |
| 結果 | 寺地拳四朗 7回TKO勝ち / WBC・WBA統一王者に |
さいたまスーパーアリーナに多くのファンが集まったこの一戦。拳四朗は右ストレートを軸に徐々に主導権を握り、7ラウンド——コンビネーションで京口を追い詰め、レフェリーが試合を止めた。TKO勝ちで2団体統一王者に輝いた。
さらにその後も強敵を退け続ける——2023年4月にはオラスクアガとの壮絶な打ち合いを9RTKO、同9月ブドラーを9RTKO、2024年1月のカニサレス戦では、見応えある激闘の末に判定2-0勝ちを収め、この試合はBWAA(世界ボクシング記者協会)の年間最高試合にノミネートされた。
🥊 フライ級転向・2階級2団体統一王者へ(2024〜2025年)
2024年7月、拳四朗はWBC・WBAライトフライ級の2本のベルトを返上し、フライ級へと転向を決断。新たな舞台での挑戦が始まった。
2024年10月13日、WBCフライ級王者クリストファン・ロサーレスに11ラウンドTKO勝ち。2階級制覇を達成した。
さらに2025年3月13日——WBCフライ級王者としてWBA王者のユーリ阿久井政悟(倉敷守安)と統一戦を行い、12ラウンドTKO勝ち。フライ級でも2団体統一王者となり、日本人史上2人目の複数階級統一王者の称号を手にした。
![]() 初心者くん |
2階級で2団体統一って、めちゃくちゃすごいですよね!日本人で2人目……最初の1人は誰なんですか?
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最初の1人は井上尚弥だ。高校時代に拳四朗を倒した、あの井上。そう考えると、インターハイで負けた相手の記録に並んだということでもある。因縁みたいなものを感じないか?
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![]() トレーナー |
🥊 サンドバル戦で王座陥落——そして次の頂へ(2025年〜)
2025年7月30日、WBA・WBCフライ級の2本のベルトを賭けてリカルド・ラファエル・サンドバル(メキシコ)と対戦。激闘の末、スプリット判定(1-2)で敗れ、王座から陥落した。
フライ級での連勝を積み上げてきた矢先の敗北——しかもこの試合、拳四朗が試合中にダウンを奪うシーンもあったとされる大接戦で、結果に驚いたファンも多かった。
ただ、矢吹に敗れた後のリベンジを見ていれば、この男が「負けたら終わり」ではないことはわかっている。
そして2026年7月20日——明日、両国国技館。WBO世界スーパーフライ級王座決定戦でイスラエル・ゴンサレス(メキシコ)に挑む。フライ級での王座陥落からわずか約1年、今度は階級を上げて新たな世界タイトルへの挑戦です。
3階級制覇を達成すれば、日本人ボクサーとしては井上尚弥に次ぐ快挙になります。
🥊 主要キャリア年表
| 年月 | 出来事 |
|---|---|
| 高校時代 | インターハイ決勝で2学年下の井上尚弥に3RKOSTOP負け(準優勝) |
| 大学時代 | 関西大学。国体ライトフライ級優勝・全日本準優勝。アマ通算74戦58勝(20KO)16敗 |
| 2014年8月 | プロデビュー |
| 2017年5月20日 | ガニガン・ロペスを2-0判定 / WBC世界ライトフライ級王座奪取(プロ10戦目) |
| 2018年5月 | ロペスとの再戦で2RTKO / V1成功 |
| 2020年 | 泥酔騒動 / JBCより制裁金300万円・3か月ライセンス停止 |
| 2021年9月22日 | 矢吹正道に10RTKO負け / 初黒星・王座陥落 |
| 2022年3月19日 | 矢吹正道に3RKO勝ち / 王座奪還(Ring誌カムバック・オブ・ザ・イヤー) |
| 2022年11月1日 | 京口紘人を7RTKO / WBC・WBA統一王者に(さいたまスーパーアリーナ) |
| 2024年1月 | カニサレスに2-0判定 / BWAA年間最高試合ノミネート |
| 2024年7月 | ライトフライ級2冠を返上 / フライ級転向 |
| 2024年10月13日 | ロサーレスを11RTKO / WBCフライ級王座獲得(2階級制覇) |
| 2025年3月13日 | ユーリ阿久井政悟を12RTKO / WBA・WBCフライ級統一(日本人史上2人目の複数階級統一王者) |
| 2025年7月30日 | サンドバルに判定1-2負け / フライ級王座陥落 |
| 2026年7月20日 | イスラエル・ゴンサレスとWBO世界スーパーフライ級王座決定戦(3階級制覇挑戦) |
🥊 まとめ——競艇を夢見た城陽の少年が、ここまで来た
競艇選手になりたかった少年が、嫌々ボクシングを始め、高校で井上尚弥に倒され、プロ10戦で世界王者になり、2度負けて2度復活し、2階級で2団体を統一した。
この話の密度、本当に好きです笑。
父・寺地永さんとの親子世界王者(国内初)、リング誌カムバック・オブ・ザ・イヤー、BWAA年間最高試合ノミネート——肩書きだけ並べてもすごいのに、背景にある「競艇を目指していた」「北斗の拳を読んだことがない」エピソードがまた人間らしくていい。
明日の7月20日、両国国技館。3階級制覇を懸けてゴンサレスに挑む。勝敗予想は別記事でまとめましたが、この選手の軌跡を知れば知るほど、「何があっても倒れない人だな」と思います。
📋 明日の試合、勝敗予想はこちら
※本記事は公開情報(B.M.Bボクシングジム公式サイト・Wikipedia・スポーツメディア各誌)をもとに構成しています。2026年7月19日時点の情報です。




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